念願の、隣室のない物件です。
木造で古い建物ですが、静かに決まっています!
さて、引っ越した直後は、1階に誰も住んでいませんでした。
ということで建物を独り占めしている形でした。
いや~、静かでしたねぇ。
何年もの間、近隣の騒音に苦しめられてきたことを思うと
嬉し泣きしそうでしたよ。
「長かった・・・でもやっと静かな暮らしを手に入れた・・・」
諸行無常。
1階に人が引っ越してきました。
でも1階からそうそう音なんか聞こえるもんじゃないと高をくくっていました。
しかし・・・オンボロ家屋の恐怖を思い知らされることになろうとは・・・
引っ越してきたのは老夫婦でした。
これはうるさいはずがない、と思っていました。
まあ確かにうるさくはなかったんですが・・・しかし!
私は仕事は午後ですから、午前中は眠っています。
でも、ある日の午前10時ごろ・・・
建物が振動するのを感じて、私は目を覚ましました。
振動だけではありません。
建物が振動するということは、枕に横たえている私の頭にも振動は伝わるということです。
それは不快なうなり音となって、我が脳幹を襲うのでした。
耳栓は振動に対しては無力でした。
な、なんだこれは・・・
その時は家の前で工事を始めたのか、
それとも大きなトラックでも止まったのかと思って我慢しました。
しかし・・・
次の日も振動で目が覚めました。そしてまた次の日も。来る日も来る日も・・・
振動の発生源は真下のように感じました。
家の周りで毎日工事をしているわけでもありませんし、トラックもとまっていません。
私は、下の階の住人が使っている何らかの家電製品が原因でないかと思ったのでした。
そこで、以前のような失敗をしないためにも、ストレスがたまりすぎて限界を迎える前に
伝えることにしました。初めてのお手紙作戦です。
「午前中にものすごい振動が1階から伝わってきているようなのですが心当たりは御座いませんか?」
「なんのことでしょう?」
「毎日午前10時ごろから始まる振動のことです」
それ以後、下の住人から答えは返ってこなくなりました。
私は何度も粘り強く手紙を出しましたが、ことごとく無視されました。
そして毎日かかさず、午前10時に振動はスタートします。
私は寝不足でストレスが高まっていくのを感じていました。
しかしまだ手段はあります。大家さんに知らせることです。
私は大家さんに手紙を出しました。
高齢な大家さんです。経験豊富なはずです。人生の知恵もあるはずです。
なんとか大家さんがうまく話してくれるだろうと期待して待ちました。
でもこの大家さん、何を思ったか私の仕事場に電話をかけてきました。
しかも電話に出た女性に対してかなり横柄な口を利いたようで女性社員は少しあきれていました。
「はい。替わりました」
「あ、○○さんですか? こんにちは~」
仕事中にもかかわらず、のんびり話し始めました。
「それでですね、なんですか? あなた音が気になるとかで。
まあでも気にするときりがありませんよ。ここはひとつなるべくきにしないということで」
「それで、下の階の人には大家さんから話してくれました?」
「いやいや、それはちょっとその、角が立つじゃないですか。
それよりもね、あなた若いから気が短いのかもしれないけど、
気にしないのがいちばんですよ」
「いや、でも、あの振動が毎日続いてるんですよ。眠れなくて困ってるんです」
「だから、それですけどね。どうでしょう。
何か下の階の人に贈り物でもしてお願いしてみれば・・・」
何を言ってるんだこの人は・・・
理解できない。被害者の方が加害者に贈り物をする?
いや、待て待て、その前にこの大家さん、相手とまったく話してないじゃないか。
それでなんで仕事場に電話かけてくるんだ?
なんで電話に出た女性を怒鳴るんだ?
これがジェネレーションギャップというものか!!
いやいや、そんなばかな・・・
話になりませんでした。仕事が忙しいこともあって話は切り上げました。
その後何度も大家さんに頼んでみましたが大家さんは相手と話すことを頑なに拒みました。
私は追い詰められた気分になりました。
振動は相変わらず毎日続いています。
どんなに疲れて帰ってきてもゆっくり眠れない。ストレスが次第に限界に近づいてきたある日・・・
振動が始まって私は目を覚ましました。
我慢できずに「うるさいんだよ!」と怒鳴って畳を殴りつけました。
振動はしばらく止んで、また始まりました。
私は後悔しました・・・
これで問題が解決する可能性はなくなってしまった、と。

